「あれ?段取りが悪くなった?」と感じたら要注意!加齢による認知機能の変化とスムーズに暮らす秘訣
福島県いわき市で活動している健康運動指導士、介護予防運動指導員の手塚幸恵です。
認知機能低下予防が期待できるシナプソロジー®というエクササイズの教育トレーナーであり、メンタルトレーナでもあります。運動することは脳の認知機能に良い影響を与えることが分かっています。運動のこと脳のことを分かりやすくお伝えし、運動実践につなげていただきたいと思っています。
最近、段取りが悪くなった・・・それ、もしかして認知機能の変化かもしれません
「あれ?前はもっとスムーズにできていたのに…」
「昔はこんなに手際が悪くなかったのになぁ・・・」と感じることはありませんか?
例えば、お料理。
昔は、ご飯を炊きながら、煮物を作りつつ、もう一つ炒め物もパパッと作れていたのに、最近は一つのことに集中しないと、焦げ付かせたり、味付けを間違えたり・・・なんてことはありませんか?
あるいは、お出かけの準備。
「あれ?お財布どこに置いたっけ?」
「持っていくもの、他に会ったような・・・」と、玄関を出るまでにやたらと時間がかかったり・・・なんてことはありませんか?
歳を重ねると、誰しも多少なりとも物忘れは増えるものです。
ですが、「段取りが悪くなった」と感じるようになったら、それは「認知機能の低下」のサインかもしれません。
今回は、その原因と予防方法、そして、もし機能が低下してきても上手に生活するコツをお伝えします。
なぜ、段取りが悪くなるのか?
段取りとは、物事を効率よく進めるために、順序や優先順位を考えて行動することです。
これは「実行機能」と呼ばれる脳の働きによって支えられています。
実行機能には、次のような能力が含まれます。
・計画を立てる力
・優先順位をつける力
・一つのことに集中する力
・必要なことを覚えておく力
例えば、カレーを作る場合を想像してみましょう。
1.(目標設定)
「今日はカレーを作るぞ!」と決める
2.(情報収集・現状把握)
「材料は冷蔵庫にあるかな?足りないものはないかな?」と考える
3.(計画立案)
「じゃがいもは先に切って水にさらしておこう」「お肉は炒める直前に切ろう」と考える
4.(柔軟な対応)
「あ、そういえば人参が少ししなびているから先に使おう」と、状況に合わせて計画を調整する
5.(実行・手順の管理)
「次は玉ねぎを炒めて・・・」と、手順通りに進める
6.(時間管理)
「そろそろルーを入れる時間だな」と、時間を意識する
7.(マルチタスク)
「焦げ付かないように混ぜながら・・・」と、複数の作業を同時に行う
どうですか?カレー一つを作るにも、これだけの脳の働きが関係しているのです。
年齢を重ねると、この実行機能が少しずつ弱くなっていきます。
具体的には以下のような脳の機能低下が関係しています。
①ワーキングメモリの衰え
人は何かを計画・実行する時、頭の中で情報を一時的に保持しながら作業を進めます。
これを「ワーキングメモリ」といい、この機能が低下すると、一度に処理できる情報量が減り、「今、何をすべきだったか?」と迷うことが増えます。
(例1)昔は同時にいくつかのことを考えても平気だったのに、今は1つずつ順番に片づけないと混乱してしまう
(例2)何かしている途中で、電話がかかってきたり、別のことを頼まれたりすると、元の作業の手順が飛んでしまう
②柔軟な思考の低下
予期せぬ変更や問題が発生した時に、それに応じて計画を修正することが難しくなることがあります。
(例)急な予定変更があると混乱してしまい、どこから手を付けるべきか分からなくなる
③注意力の低下
物事を順序立てて進めるには、集中力が必要です。
しかし、加齢とともに注意が散漫になりやすく、作業を中断してしまったり、違うことに気を取られてしまい、結果的に段取りが悪くなることがあります。
(例1)あれこれ考えて計画を立てること自体が昔より面倒になる
(例2)掃除を始めたはずが、途中で洗濯を始めて、掃除が中途半端になってしまう
認知機能は「使えば保てる」 予防のためにできること
脳も筋肉と同じで、使わないと衰えます。逆に言えば、日々意識的に使うことで、その働きを維持することも可能です。
認知機能低下を防ぐお勧め4つの習慣
①生活の中に「計画」を取り入れる
例えば、毎朝「今日は何をやるか」を紙に書き出してみましょう。
やるべきことを「見える化」することで、頭の中が整理され、段取りもスムーズになります。
②一つのことに集中する
「ながら作業」は、実行機能にとって負担が大きいです。一つ一つを丁寧に、「今日はこれ」と意識して取り組むことで、脳への混乱が防げます。
カレーを作るならば、「まず野菜を切ることに集中!」野菜が切り終わってから次のことに取り掛かるようにする。
③会話・交流を増やす
人との会話は、脳の多くの部分を使うとても良い刺激になります。毎日誰かと話すだけでも、認知機能の活性化につながります。
④体を動かす
ウォーキングやラジオ体操など、無理なく続けられる運動を日課にしましょう。
体を動かすことで、脳の血流も良くなり、全体の機能が保たれます。
もし機能が低下しても大丈夫!暮らしの工夫で乗り切れる
たとえ認知機能が少し落ちてきても、工夫次第で今まで通りに生活は可能です。
①メモを活用する
忘れがちなことは、無理に覚えようとせずに書き出しましょう。
冷蔵庫に貼る、スマホに入力するなど、自分に合った方法を見つけましょう。
②家の中をシンプルに整える
物が多いと、何をするにも手間取ってしまいます。
よく使うものだけを手の届く場所に置くなど、「迷わない」環境を作ると、動きがスムーズになります。
③「完璧」にこだわらない
多少順番が前後しても、結果的にできればOK。
できなかったことより、できたことに目を向けることが心にも脳にも優しいのです。
結果オーライなら「ま、いっか!」と笑い飛ばせる心のゆとりも大切です。
まとめ:できない自分を責めず、工夫できる自分を褒めよう
誰でも年齢と共に、少しずつできないことが増えていきます。
でも、それは「あなたがダメになった」からではありません。
むしろ、工夫して日々を過ごそうとしているあなたは、とても素晴らしいのです。
段取りが悪くなったと感じたら、それは「もっと自分を大切にする時期が来た」というサイン。
焦らず、無理せず、ちょっとした工夫と習慣で、これからも健やかに毎日を重ねていきましょう。
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