「怒られるのが怖くて動けない」子どもが変わる!スポーツにおける「心理的安全性」と3つの声かけルール

子ども達が自分の力を信じ、目標達成に向けて進めるようお手伝いをするメンタルコーチの手塚幸恵です。
私は、水泳指導歴25年以上。これまでたくさんの子どもたちと関わってきました。
現在は、スポーツで頑張る小中学生を中心にメンタルサポートを行っています。
実は私自身も、子供の頃は人と話すのが苦手で、自分に自信がありませんでした。
しかし、考え方や心の使い方を学び、少しずつ自分を信じられるようになりました。
だからこそ今、スポーツや勉強、学校生活で頑張る子ども達に、「自分にはできる」と思える力を届けたいと考えています。

最近、子ども達からこんな相談を受けることが増えています。

・「練習ではできるのに、本番の試合になると緊張して力が出せない...」
・「ミスをするのが怖くて、思い切ったプレーができない...」
・「試合になると、コーチに怒られることばかり気になってしまう...」

一方で、指導者の方からは
・「言われたことしかやらず、自分で考えて動けない」
・「もっと積極的にチャレンジして欲しい」
という悩みをよく耳にします。

実は、この二つの悩みは別々のようで、共通する原因が隠れていることがあります。

それが、「心理的安全性」です。
近年、企業や学校だけでなく、スポーツの世界でも非常に注目されている考え方です。

今回は、子ども達が失敗を恐れずに挑戦できるチームづくりについて、スポーツメンタルの視点からお伝えします。

「心理的安全性」とは?強いチームほど大切にしている理由

心理的安全性とは
「このチームなら失敗しても大丈夫。失敗しても自分のすべてを否定されるわけじゃない。」
「このチームなら、自分の考えを言っても否定されない」
と、安心して挑戦できる状態のことです。

ここで勘違いしてはいけないのは
「なんだ、怒られないラッキーなチームってこと?」
「サボってもいい、甘いチームってこと?」
ではない、ということです。
心理的安全性=甘やかすことではありません!

・ルールを守ること
・努力すること
・仲間を思いやること
これらは、これまで通り厳しく伝える必要があります。

違うのは
「失敗したこと」を責めるのではなく、「失敗から何を学ぶか」を一緒に考えることです。

スポーツは失敗の連続です。
トップアスリートでもミスをします。
だからこそ、失敗を責めるチームよりも、失敗を成長の材料にできるチームの方が、大きく伸びていきます。

怒られることを気にすると、脳はチャレンジをやめてしまう

人間は「怒られるかもしれない」「失敗したら怒鳴られる」と感じると、脳が「ピンチ!危ないぞ!」と危険をキャッチします。
すると、脳は自分の心と体を守ろうとして、次のような行動をとらせます。

・難しいチャレンジをやめる
・ミスしなそうな、無難なプレーばかりする
・ミスを隠そうとする
・指導者の指示を待つだけになる(自分から動かない)

これは「やる気がない」わけではありません。
脳が自分を守ろうとしている、ごく自然な反応なのです。

一方で、
・「失敗しても、次につなげれば大丈夫」
・「チャレンジしたことを褒めてもらえる」
という安心感があると、脳はリラックスして、本来の力を発揮しやすくなります。

だからこそ、心理的安全性は、勝つための「甘さ」ではなく、実力を発揮するための「土台」なのです。

私が子ども達から聞く、本当の気持ち

メンタルトレーニングをしていると、子ども達はこんな本音を話してくれます。

・「コーチが大声で怒るのが怖い」
・「一度怒られると、また怒られることが嫌でビクビクしてしまう」
・「顔色をうかがって、怒られないように行動してしまう」
・「スポーツを楽しめなくなった」

子ども達は、スポーツが好きで、上手くなりたくて頑張っています。
しかし、「怒られるのが怖い」から練習に行くのが嫌になってしまったり、試合に出るのが怖くなる子どももいます。

・「また!ミスして!」
・「何やってんだ!」
と言われ続けると、子どもはますます萎縮してしまいます。
これでは、気持ちを切り替えることもできなければ、新たにチャレンジすることも避けてしまいます。

その結果、「試合から外された」「交代させられた」という、事態が起こり、子ども達の気持ちはどんどん落ち込んでいってしまいます。

私がセッションをしている子ども達は、決してチャレンジする気持ちを持っていないわけではありません。
むしろ、「強い選手になりたい!」「勝ちたい!」と思っている子ども達です。

だからこそ!指導者の皆さんにお願いしたいことがあります。

子どもが失敗した場面だけを見るのではなく、その裏側にある「勇気」や「挑戦しようとした気持ち」にも目を向けてあげてください。
その一言が、子どもの未来を大きく変えることがあります。

私自身も水泳の指導では言葉がけに注意しています。

①「やって欲しいことを具体的に伝える」
(例)膝を伸ばしてキックしよう!
②「言ったことに対して必ずフィードバックする」
(例)膝を伸ばそうとしていたね!いいね!
③できていなかった場合は
(例)「膝をどうするんだっけ?」と確認する

「できなかったことを指摘」するのではなく、「どうしたらできるか?」に焦点を当てています。

チームが変わる!3つの声かけルール

①結果ではなく「挑戦」を認める

子どもは、認められた行動を繰り返します。
結果だけを評価していると
「失敗しそうだからやめておこう」
という考え方になってしまいます。

✕ダメな声かけ:「またミスしたのか!」「何で取りに行かないんだ!」
◎素敵な声かけ:「思い切ってチャレンジしたね」「その判断は良かったよ。ナイスチャレンジ!」

この一言だけでも、子どもの次のプレーは変わります。

②失敗を「成功するためのデータ」に変える

ミスは失敗ではありません。
次に成功するためのヒントです。

✕ダメな声かけ:「どうして失敗した?」と責める
◎素敵な声かけ:「次はどうしたらうまくいきそう?」と一緒に考える

コーチから答えを言われるより、自分で「次はこうする!」と考えたことの方が、ずっと頭に残りますし、プレーも上手になります。

③指導者も「完璧ではない姿」を見せる

監督やコーチは、子どもにとって特別な存在です。
だからこそ、
「さっきの説明、少し分かりにくかったね。」
「コーチも子どもの頃は、何度も同じ失敗をしたよ。」
そんな一言が
「あ、コーチも同じだったんだ。失敗を恐れずに頑張ろう」
という安心感につながります。

完璧な指導者よりも、一緒に成長し続ける指導者の方が、子ども達は安心して挑戦できるのです。

練習の中に「失敗してもいい時間」をつくろう

「失敗してもいいよ」と言われても、すぐには緊張がほぐれないものです。
そこで、練習の中に、こんな工夫を取り入れるのがおすすめです。

例えば、練習最初の5分間だけ「チャレンジタイム」を作ります。

・普段なら絶対に狙わない、難しいコースを狙ってみる
・苦手な技に挑戦する
・成功率が低くても、新しいプレーを試してみる

そして練習の最後に「今日は何回チャレンジできた?」と振り返ります。

私は水泳教室で「チャレンジタイム」を設ける時があります。

進級テストが近づいてくると子どもたちは「合格できなかったら...」と不安になります。
そんな時は「今日、どこまでできるか?今日のチャレンジ!」と声をかけます。
すると、「25m泳ぎ切る」というプレッシャーではなく、「何mできるか?」の挑戦になり、やる気がアップして、すんなり25m泳げることがよくあります。

評価するのは「成功の数」ではありません。
「挑戦した数」です。
これだけで、「失敗したらどうしよう」から「次はどんな挑戦をしよう」に変わり、チーム全体の雰囲気も少しずつ変わっていきます。

今、ブログを読んでいるみんなへ

もし今、「コーチに怒られるのが怖い」「失敗したらどうしよう」
そんな気持ちを抱えているならば、知っておいて欲しいことがあります。

それは、あなたが弱いからではありません。
人は怖いと感じると、心も体も自然と守りに入ります。
だから、思い切ってプレーできなくなるのは、とても自然なことです。

外の世界に飛び出すのは怖いかもしれませんが、本当の成長は、チャレンジした先にあります。
失敗したら終わりではありません。
失敗は「もっと上手になるためのヒント」です。
昨日より一歩だけ勇気を出して、挑戦してみてください。
その一歩が、未来の大きな自信につながります。

最後に

子ども達が本来の力を発揮できるのは、「ここなら安心して挑戦できる」と感じられる環境がある時です。
もちろん、スポーツには厳しさも必要です。
しかし、その厳しさは、子どもを萎縮させるためのものではなく、成長を支えるためのものであって欲しいと私は願っています。

指導者の何気ない一言が、子どもの挑戦する勇気を育てることもあれば、その芽を摘んでしまうこともあります。

だからこそ、今日からぜひ「結果」だけでなく、「挑戦」を認める声かけ、「挑戦」を応援する声かけを増やしていきませんか?

安心して挑戦できる環境こそが「勝利への近道」です。
そして、子ども達がスポーツを心から楽しみ、自ら考え、成長していくための土台になります。

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