【転倒予防】秋の旅行や外出をずっと楽しむために!今日からできる簡単筋トレ&チェックリスト

福島県いわき市で活動している健康運動指導士、介護予防運動指導員の手塚幸恵です。
認知機能低下予防が期待できるシナプソロジー®というエクササイズの教育トレーナーであり、メンタルトレーナーでもあります。運動することは脳の認知機能に良い影響を与えることが分かっています。運動のことや脳のことを分かりやすくお伝えし、運動実践につなげていただきたいと思っています。

秋は、紅葉を見に出かけたり、おいしいものを食べに行ったり、旅行を楽しんだりするのにぴったりの季節ですね。
「今年はどこへ行こうかな?」
「来年も再来年も、自分の足でいろいろな場所へ出かけたい!」
そんな楽しみを、いつまでも大切にしたいものです。

しかし、せっかくの楽しい旅先や、毎日の生活の中で「ヒヤッ」とした経験はありませんか?
ほんの少しの段差につまずいたり、滑ったりして転びそうになること・・・。

今回は「いつまでも自分の足で行きたいところへ行く!」ために知っておきたい「転倒予防」について分かりやすくお伝えします。

なぜ「転倒予防」がそんなに大事なの?

「たかが転ぶくらい、大丈夫でしょう?」
そう思っていませんか?実は、大人になってからの「転倒」は、決して軽視できない大きな問題なのです。

①転倒は「寝たきり(要介護)」の原因になる

人間の骨は、年齢を重ねるともろくなっていきます。特にシニア世代になると、転んだ拍子に太ももの付け根(大腿骨)や腰の骨を骨折してしまうケースがとても多くなります。

大腿骨を骨折してしまうと、しばらくの間、病院のベッドから動けなくなってしまいます。
すると、たった数週間歩かないだけでも足の筋肉が急激に落ちてしまうのです。
骨折が治った後も「怖くて上手く歩けない」「自力で立ち上がれない」という状態になりかねません。

厚生労働省の調査でも「骨折・転倒」は高齢者が要介護状態になる原因の上位に入っています。つまり、「転ばないこと」は「一生自分の足で歩き続けること」に直結しているのです。

②一度転ぶと「歩くのが怖く」なってしまう

幸いケガをしなかったとしても、一度大きく転んで恐ろしい思いをすると、「また転んだらどうしよう・・・」という不安が心に残ります。
これを専門用語で「転倒後症候群」や「転倒恐怖感」と呼びます。
歩くのが怖くなると、人はどうしても家に閉じこもりがちになります。

外に出ない ➡ 足腰の筋肉がますます弱る ➡ バランス感覚が低下する ➡ さらに転びやすくなる
という悪循環に陥ってしまうのです。

秋の美しい景色を見に行く元気を保つためにも、まずは「転ばない安心感」を身につけることが大切です。

危険はどこに?身近に潜む「転倒リスク」チェック

「自分はまだ若いから大丈夫!」と思っている方ほど注意が必要です。
転倒事故は、特別な場所で起きるわけではありません。むしろ、慣れ親しんだ「家の中」や「いつもの散歩道」で一番多く起きています。
まずは、身の回りにどんな危険が潜んでいるかチェックしてみましょう。

【身近な転倒危険度チェック】
□ 家の中のわずか1cmの段差(カーペットの端、敷居など)によくつまずく
□ スリッパや靴下を履いて家の中を歩くと滑りそうになる
□ 暗い廊下や階段で足元が見えにくくて不安になることがある
□ 階段の上り下りで手すりを必ず使いたくなる
□ 信号が青のうちに横断歩道を渡り切れないことがある
いくつ当てはまりましたか?1つでも当てはまった方は、今日から転倒予防の意識をスタートしましょう!

①家の中に潜む「うっかり危険スポット」

実は、屋外よりも危険が多いと言われるのが「家の中」です。具体的にどんな場所が危険なのでしょうか?

・敷居や畳のヘリ・カーペットのめくれ
たった1~2cmの段差でも、足先がしっかり上がっていないと指先が引っかかって転んでしまいます。
・床に置いたままのコードや新聞紙・物
掃除機やスマホの充電コード、床に重ねた雑誌などは、足が引っかかる大敵です。これからの季節は、こたつや暖房機(ファンヒーター)などのコードにも注意が必要です。
・フローリング+靴下・スリッパ
靴下のままフローリングを歩くと、ツルっと滑ることがあります。かかとがないスリッパも脱げやすく危険です。
・暗い廊下やトイレ
夜中に目が覚めてトイレに行くとき、部屋が暗いと足元が見えず、方向感覚も失いやすくなります。
※わが家では、人感センサーで光る足元ライトを廊下に置いて対策しています!

毎日過ごす場所だからこそ、危険を見落としがちです。
「いつも通っているから大丈夫」と思わず、一度家の中をチェックしてみてくださいね。

②外出先・行楽地に潜む「ヒヤリ危険スポット」

秋の行楽シーズン、観光地には楽しい誘惑がいっぱいですが、足元には危険が潜んでいます。

・落ち葉や濡れた石畳
秋の紅葉はきれいですが、濡れた落ち葉や苔が生えた石畳は非常に滑りやすいです。
・観光地の不揃いな階段や坂道
お寺や神社などの階段は、段の高さが不揃いなことが多く、足の出し方を一歩間違えるとバランスを崩してしまいます。
・荷物の重さと両手のふさがり
お土産やお弁当で両手がふさがっていると、万が一つまずいた時に手をついて体を支えることができません。リュックを背負うなど、両手が空く工夫をしましょう。

なぜ、年齢とともに転びやすくなるのか?

人が転びやすくなる背景には、主に3つの体の変化があります。

①筋肉の減少(サルコペニア)

歩くために最も大切なのは、「太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)」「すね・ふくらはぎの筋肉」「お尻の筋肉」です。

運動をしないでいると、1年間で筋肉の量が1%ずつ減っていくと言われます。
特に「すねの筋肉」が弱ると、歩く時につま先を上に引き上げにくくなります。自分では足を上げているつもりでも、つま先が上がっていないため、たった1cmのカーペットの段差に引っかかってしまうのです。

②バランス感覚の低下

人間の体には、グラッと揺れた時に「おっとっと!」と姿勢を立て直すセンサーが備わっています。
しかし、年齢とともにこのセンサーの反応は少しずつゆっくりになります。揺れを感じてから脳が「足を一歩踏み出せ!」と命令を出すまでに時間がかかるため、踏みとどまれずに倒れてしまうのです。
方向転換をした時や、足元が不安定な場所を歩く時は、特に注意が必要です。

③関節の柔軟性の低下

股関節や足首の関節が硬くなると、歩幅が狭くなります。ちょこちょこ歩きになると、かかとからの着地ができず、つま先から地面をすったり、足の裏全体で地面を捉えにくくなったりして、少しの衝撃でバランスを崩しやすくなります。

今日から自宅でできる!簡単「転倒予防トレーニング」

【安全のためのルール】

トレーニングを行う時には、万が一バランスを崩しても大丈夫なように、必ず壁や安定した椅子・机・手すりに手を添えて行ってください。無理は禁物です。

①片足立ち(バランス能力を高める)

倒れそうになった時に耐える「バランス能力」を鍛える体操です。

【やり方】

1.壁や椅子の背もたれの横に立ち、片手を軽く添えます
2.姿勢をピンと伸ばし、片足を床から5~10cmほど浮かせます
3.その状態を1分間保持します。(ふらつく場合は、30秒や10秒からでもOK!)
4.反対の足も同様に行います

片足立ちが20秒以下の場合、転倒の危険が高まる、と言われています。
ご自分のペースで少しずつ行っていきましょう。

②つま先上げ&かかと上げ(つまずきを防ぐ)

つまずきを防ぎ、力強く歩くための「すね・ふくらはぎ」のトレーニングです。

【やり方】

1.椅子に浅く腰かけ、背すじを伸ばします。両足は肩幅に開きます
2.足を少し前に出した状態で、両足のつま先をキュッと持ち上げて、下ろします(10回繰り返し)
3.足を少し椅子の方にひいた状態で、両足のかかとを上げて、下ろします(10回繰り返し)

つま先を上げる時は、「すね」、かかとを上げる時は、「ふくらはぎ」に効いていきます。かかと上げの時は。両足の指の腹は床につけたまま行うことがポイントです。

③お尻上げ(歩く・立つ力をつける)

歩く・立つ・階段を上るために欠かせない「太ももとお尻」の筋肉を鍛えます。

【やり方】

1.椅子に浅めに腰かけます。背すじを伸ばしましょう
2.お尻を後ろに突き出すようにして、上半身を少し前に倒します。(両足の裏全体に体重が乗っていることを確認)
3.お尻を2~3cm浮かせて5秒間キープします
4.ゆっくり元に戻りましょう

「スクワットは膝が痛くなりそうで怖い」という方でも、この方法なら安心して太ももとお尻を鍛えられます。

まとめ:自分の足で歩く喜びをいつまでも!

「もう歳だし・・・」と諦める必要は全くありません!
トレーニングの効果は、何歳から始めても必ず応えてくれます。できることから、自分のペースで運動を行ってみましょう。

まずは今日、テレビのCMの間に、「つま先上げ・かかと上げ」を10回やってみませんか?
その小さな一歩の積み重ねが、5年後、10年後も「自分の足で行きたいところへ自由に旅行できる」という素晴らしい未来を作ります。

実は、私の70代後半になる母ともよくこんな話をしています。
「旅行先って、結構歩くところが多いよね!しっかり歩けないと観光も楽しめないよね」
「諦めるんじゃなく、今できることから始めようよ!」と。
そして今では、旅を楽しむことを目標にして、母と一緒にウォーキングや椅子を使った筋トレを続けています。
あなたもぜひ、ご自分にできる小さなことからスタートしてみてくださいね。

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